如月22日晴れ風 食の旅
ひとりで旅をした。
熊本まで車を走らせて。会ってみたい人とせかいと空間へ。どきどきした。若い頃より、少し考えるようになったせいか、できるかしらと不安もあった。けど行ってみたかった。その扉を開いてみたかった。
辿り着くまでの一歩手前の細い道。門を開けると落ち着いた空間。働く台所の女たちの風景に、デジャブな感覚。私は初めてだけど、記憶の中では知っている、そんな感覚がした。夢で見たのか、なぜなのかは思い出せないけれど、この景色を知っていた。
食卓を共に囲んだ人々は、皆雰囲気もカラーも違うけれど、素敵な人ばかりだった。ありがたい巡り合わせにほっとした。
芯のある優しさに触れる感覚を知った。皆、この人が好きなんだな。なんか分かる気がした。
心地よい空間で、過ごしたあの時は、穴を埋めることなく、わたしの身体に、料理と共に染み渡っていった。
無事家へ戻り、翌朝7時半に目が覚めて、また眠ることにした。旅の疲れ。私も歳をとったな。疲れたから休むことにした。そしたらまた歩こう。
疲れたら、休んだらいいんだよ。
お疲れさま。やっとここまで歩いてきたね。夜明けはもうすぐ。夜が明けていく、その一瞬一瞬を味わって。大切に抱きしめて。