水無月29日雨 記憶
音や感覚がするりと入り込んで、いとも簡単にその時の記憶や感情をここ(現在)に運んでくる。
晩ご飯の支度をしようとしたら、急にお腹が空いてきて、その感覚で、小学生の頃にもうだめだとエネルギーを温存しようと死んだフリをしているかのように床にへばりついて、母親の帰りを待っていたことを思い出した。
しんどい時に聞いていた音楽のトランペットの音。思い出して、聴きたくなって、あの時のこと、何度も何度もありがとうって思った。これが本心というものか。心から出会えて良かったって、そう思う。
あの絶望的な感情を乗り越えて、今ここに自分がいるということ。ここにいるのは、苦しいとか悲しいとかから逃げずに受け止めて、共に時間を過ごしたからだと思う。何度も再生してきた。何度も何度も。
前を見ている限りは、前に進んでいるんだと思う。